スポンサーサイト

--------

Tag :

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ピカレスク浪漫

2008-09-14

Tag : 屈託

白川道「流星たちの宴」(新潮文庫)
「流星たちの宴」
珍しく小説のレビューです。
味のある本をマメに教えてくれる
旧い友人の紹介で読みました。
有り難い知己です。

どうも自分は虫も殺さないような人に見え、
うさんくさいことばかり考えているとは思えないという
美しい誤解があるようです。
確かに普段の言動は保守的というより萎縮的です。
反動かバランス感覚か分かりませんが、
いわゆるピカレスク・ロマン(悪漢小説)は好みのジャンルです。

白川道(しらかわ・とおる)の本はこれが初めてではなく、
<病葉流れて>三部作、
これも有り難い知己の紹介で読了済みです。
学生時代から就職直後まで「坊や哲」を地で行っていた、
高度成長時代の「放浪記」でした。
主人公の梨田雅之はその後37歳となり
「兜研」という投資顧問会社に入るところから
この物語が始まります。
主人公に限らず、
バブル期真っ盛りの仕手戦に乗り出していく
数々の男たちがいちいち魅力的です。
北上次郎氏による解説には
「経済小説という衣装をつけてはいても」
「本書はアフォリズムに満ちた小説なのである」
とあります(引用:p.686)。
背景や人物というより、
ひとりひとりの吐く台詞が活き活きしています。
前に読んだ「放浪記」三部作よりも、
更にぐっと引き込まれました。

登場する男たちに共通するもうひとつの特徴は、
金儲けの手だてに骨身を削りながらも
儲かることに脂切って執心しているわけではなく、
心底まで熱くなれず何だかいつもカサカサと乾燥しているような
屈託を抱えているところです。
(その一方で自分にってる印象もあります)
その結果、象徴的な出来事(バブル崩壊、とか)が元で成功しきれずに終わり、
滅びの美学を体現するように描かれてます。
(ただひたすら儲かって終わってしまったら
 判官贔屓の読者を引き込めない、という、
 手法上の問題もあるかもしれませんけど)
ギャンブルを通してしか生きている実感をもてないような、
自分の人生の主役になれない感じが全体を通して描かれ、
ハンパな男がハマる要素をたっぷり持ってる作品でした。

一方で、
こういう地に足のつかない野郎どもの話は
女性からはきっと共感を得にくいだろうなあと思います。
ま、それはいいんですけど。

三部作よりも先に(最初に)書かれた作品とのことです。
後半にやや冗長さが残り、もう少し短く書けそうな気がしますが、
体験を通して描かれたものと判る迫力は
もう一人いた「最後の無頼派」と
言いいたくなる手応えがあると思いました。
FC2 Blog Rankingにほんブログ村 哲学・思想ブログ 人間・いのちへ人気ブログランキングへ
関連記事
スポンサーサイト

テーマ : 恋愛小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

ようこそ

アクセスどうも

プロフィール

ito.tamuro

Author:ito.tamuro
生きてるだけで
気恥ずかしいのは
歳が増えても
抜けません

おもちゃ箱

点取り占いブログパーツ

助かる~リンク

わりと新しい記事

すこし新しいコメント

これでも新しいトラックバック

RSSフィード

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。