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あたらしい心の哲学と倫理学

2009-05-16

Tag : アーハ!

河野哲也「暴走する脳科学
 哲学・倫理学からの批判的検討」(光文社新書)

「暴走する脳科学」
本のタイトルが暴走していますが、
中身は慎重で明快です。
に関する研究の現状、
その前提となる身問題についての学史上の整理、
不正確に研究成果を煽る人たちへの批判、
科学研究における倫理上の問題
を、
コンパクトにまとめて紹介してありました。
引用文献に21世紀に入ってからのものが多く、
あたらしい学を紹介する本だと思いました。

いくつか面白いと思ったところを紹介します。
ブレイン-マシン・インターフェース
という言葉を初めて知りました。
ロボットアームをと直結して
手を使わずに脳からの命令(意志?)だけで
動かせるようになった人の本があるそうです。

脳の局在説のひとつ前にあったのが、
ガルの骨相学だった
という解説を初めて読みました。
専門の研究者には
目新しくもない話かもしれませんが、
ただ単に骨相学を荒唐無稽なものとして扱うだけでなく
(この本でも血液型性格判断と対照してみたりはしてますが)、
ペンフィールドのホムンクルスにつながる、
の特定部位だけで
人間の行動・認知・情動を決めてしまおうという
極端な流れとのつながりを
整理してまとめてありました。

科学研究が自由意志の存在を否定する根拠になるという
(ぜんぜんなっていませんが)
研究結果が論議を呼んだ、
という話も初めて知りました。

この本における学の自己定義がふるっています。
 古代ギリシャで生まれた学は、当時の(不完全ではあるが)民主主義社会における市民のための知だった。
 専門家と一般市民という分け方をするならば、あるいは、一人の人間のなかに専門家としての側面と素人としての側面があるとるすと、学というのは、一般市民のための学問であり、素人のための知である。
(p.30)
学のもつやぶにらみ的なスタンスを
きれいに切り取っています。

神経倫理学上の課題としては、
理主義への警鐘も書かれていました。
 たとえば、数年前、ニートが社会問題となった。無就学・無就労状態の若年層が増えると、その原因は、若者の怠惰、やる気のなさ、コミュニケーション・スキルの不足などに原因が求められた。これは典型的な理主義の発想である。多くの若者は就職しないのではなく、就職のポストがないのであり、その主な原因は、不況下で中高年の雇用を維持し、新規採用を増やさなかった経済運営にある。
 あるいは、業績不振で、労働環境も悪く、法に抵触するような行為も行われるような職場に、カウンセラーを入れて、人々の問題を理的に解消しようとする企業があるかもしれない。そこでは本来、正すべきは職場環境であり、変えるべきは経営者や指導者である。にもかかわらず、理主義は、本来は社会的・政治的な問題を理的な問題に置き換えて、特定の個人へ転嫁させてしまうのだ。
(p.201、傍点を下線に変更)
森真一先生の主張をコンパクトにまとめてあります。

どこを切っても読みごたえありです。
頭のいい人はやること違うなー。
この先生の本も続けて読んでいきたいと思いました。
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テーマ : 哲学/倫理学
ジャンル : 学問・文化・芸術

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